豪ドルとNZドルの相関関係について

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豪ドルとNZドルはまとめて「オセアニア通貨」と言われ、ひと昔前までは高金利通貨としてスワップ狙いで高い人気を誇りました。

オーストラリアとニュージーランドは同じオセアニア地区の国であり、若干国の産業が違うものの、投資家には同じように見なされており、両者の通貨の動きは相関関係にあります。

ここでは豪ドルとNZドルの関係についてと豪ドルの値動きの要因となる要素などについて解説したいと思います。

豪ドルとオーストラリア経済の特性はなあに?

オーストラリアは日本の20倍もの広大な面積。
GDP世界第14位の中規模国に当たります。

オーストラリアの輸出品目といえば「オージービーフ」などに代表される牛肉や羊毛などを思い浮かべますが、このような農林水産物は1~2割程度にとどまり、輸出全体の半分を占めるのは鉄鉱石、石炭、アルミニウムなどの鉱産物。

輸出品目の半分が資源である資源国ですので、資源価格の影響を受けやすく、同時に資源を多く輸出している輸出先の中国の経済の影響を受けやすいのが特徴です。

NZドルとニュージーランド経済の特性はなあに?

GDPが世界52位のシンガポールよりもやや規模の低い国です。

輸出品目はほとんどが肉、乳製品、羊毛、林産物、キウイフルーツに代表される果実など第1次産品が主要産業となります。

ニュージーランドの経済は農作物に影響がある天候などに左右されやすいはずなのですが、投資家からは豪州と同じ資源国だというイメージを持たれています。

そのため、農作物の価格に左右されるというよりは、豪ドルの動きに左右され、ほぼ同じような動きをする傾向にあります。

豪ドルとNZドルの動きは連動する

下の2枚のチャートは豪ドル/円の月足とNZドル/円の月足です。

豪ドル/円月足豪ドル/円は2004年からの資源価格の高騰により、上昇推移していましたが、サブプライムショックに端を発する世界金融恐慌で急落しました。

その後、一旦は回復傾向が見られるものの、現在は下降トレンドで推移しています。

NZドル/円の月足チャート一方、NZドル/円ですが、資源国ではないにも関わらず、同じように上昇し、世界金融恐慌で急落しています。

2つのチャートは非常に値動きが似ていますね。

NZドルは豪ドルの動きに連動しやすいため、豪ドルとほぼ同じような値動きになります。

つまり、NZドルをトレードするなら豪ドルの値動きにも注目してください。
それでは、その豪ドルはどのような要因で動くのでしょうか。

豪ドルは中国経済と資源価格に連動

中国の景気に影響される

まりえ

オーストラリアの最大の輸出相手国は中国です。

中国経済が好調のときにはオーストラリアにとっても◎。
逆に、中国の景気が悪化するとオーストラリア経済もつられて落ち込むという関係です。

豪ドル/円の日足チャート

まりえ

こちらは2015〜2016年にかけて起こったチャイナショック時の豪ドル/円の日足チャートです。

チャイナショックは為替市場全体に影響を及ぼしましたが、特に豪ドルは大きく急落しました。

このように、中国経済に懸念材料が現れると豪ドルの価格にも影響が出ます。

オセアニア通貨に投資するなら、中国経済の動向にも目を向けましょう。

したがって、近年の米中貿易戦争は豪ドルにとってあまり良い材料ではありません。

米中貿易戦争で米国のトランプ大統領が中国に対して過激な発言をしたときは豪ドルが急落する可能性もありますので注意が必要です。

資源価格に連動する傾向

オーストラリアの輸出品目の半分は資源。
なので資源価格が豪ドルの価格に影響してきます。

特に鉄鉱石は豪州の主要な産品ですので、価格が連動する傾向があります。
しかし、ここ数年はその傾向が薄れていますので今後の動向にも注目です。

豪ドル/円の週足チャートと鉄鉱石の週足チャート上のチャートが豪ドル/円、下のチャートが鉄鉱石です。

このように豪ドルは、資源価格に連動する動きが特徴ですが、2016年頃から以前ほど資源価格との連動が見られなくなりました。

資源価格が上昇しているにも関わらず、豪ドルは下降するという場面が多く見られるようになっています。

これは、豪ドルが資源価格に対して割安になっているとも捉えられますし、米中貿易戦争の影響の方が強く出ているともいえます。

また、オーストラリアは資源依存型の経済からサービス業へと経済の構造が転換しつつありますので、今後は資源価格と完全にシンクロするような動きは見えにくくなるという見方もあります。

2020年の豪ドルの見通しは?

まりえ

ここからは今後の値動きについて見ていきましょう。

ファンダメンタルズ的な観点から言えば、オーストラリアの見通しは好材料と悪材料が入り混じっているのが現状です。

まず、豪州は2019年4月に発表した2019~2020年の予算案が12年ぶりに財政黒字を達成すると発表しています。

ただ、これまで下降していた失業率が上昇に転じるなど労働市場では陰りを見せ始めています。

対外面でいえばオーストラリアの最大の貿易相手国は中国ですが、最近では中国との関係が悪化しています。

そのワケは、中国共産党がオーストラリアの政治に干渉を試みよううとしているなどが問題になっており、豪州政府は中国への警戒を強めています。

また、豪州は近年、政治不信が強い国です。
ちょっと前の日本のように、首相が次々と変わり、いずれも短命政権です。

政治ではごたごたも続いている上に対中関係でどのような路線を維持していくかで、今後の経済の見通しに注目されています。

豪ドル/円の週足チャートから2020年の見通しを立てるテクニカル的な観点で見てみましょう。
長期では現在、豪ドル/円は2014年から下降トレンドとなっています。

ただ、2016年からの緑色のトレンドラインに現在は下支えされている状態です。

現在の72円付近は重要ポイント
下抜ければ55円付近まで下降の可能性が出てきます。

豪ドル/円の日足チャートから2020年の見通しを立てる短期で見ると現在、74.50円付近の水平線に上値を押さえつけられています。

ここを突破すれば75円、76円が見えてきます。
下値の目途は72.50円付近です。

ただ、現在ダブルボトムを描いているようにも見えますので、当面現在の価格で揉み合うか、跳ね返されるようならトリプルボトムのような形になる可能性も。

2020年のNZドルの見通しは?

NZドルですが、NZ中銀は2019年3月から利下げを示唆し、その通り5月に利下げを発表したことにより、下降基調にあります。

景気の頭打ちなど足元では上値が重い状態ですが、何といってもNZドルの場合は米中貿易戦争による豪ドルの上値が重いことが足かせになっています。

NZドルはどうしても豪ドルの動きにシンクロしますので、ニュージーランド国内の経済状況よりも、中国経済に影響される豪ドルの動きに左右されます。

NZドル/円の週足チャートから2020年の見通しを立てるチャートをご覧ください。
中長期では豪ドルと同じく下降トレンドを継続していますね。

このまま下降していくものと見られますが、上値の目標値は73~74円、下値は62円付近です。

NZドル/円の日足チャートから2020年の見通しを立てる日足では2018年末からきれいな下降のジグザグを描いています。

このジグザグが当面は崩れないとすれば一旦の上昇目標は70円付近、その後の下値目途は65円です。

豪ドルとNZドルは同じような動きをする

特にNZドルは豪ドルの動きにシンクロするような動きを見せることが多いため、NZドルでトレードする際は豪ドルの値動きや豪ドルの価格に影響する中国経済の動向や鉄鉱石価格の推移に注目するようにしましょう。

特に米中貿易戦争の影響をもろに受けやすいので、米中の要人発言には注意し、週末にはポジション量を調節してリスクに備えましょう。

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