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トルコは欧州とアジアの間にあります。
日本の倍の面積、人口約8000万人。
GDPは世界第19位、主な産業はサービス業&鉱工業となり、最大の貿易相手はEU、特にドイツがトルコにとっての重要な貿易相手国です。
アジアと欧州の間に位置し、若い世代が多く人口動態が有利なことから大きな経済成長が期待できる反面、財政面で成長を妨げている面もあります。
トルコリラといえば、高金利通貨として人気を博していましたね。
まりえ
そのトルコリラ/円ですが、今後どのように推移していくのでしょうか。
地獄の下降トレンドは終了したのでしょうか。
今後の動きを探ってみました。
トルコリラ/円の10年間の動き
トルコリラ円は2007年10月の高値は99.634円ですが、その後は数回の急落を繰り返しながら下降トレンドを描き、現在は15.72円付近を推移しています。
2013年初めに一旦上昇トレンドに入りますが、当時の米国バーナンキFRB議長が金融緩和の縮小をほのめかしたので資本流出懸念(バーナンキショック)によりリラが再び下落します。
その後、米国の利上げ観測、チャイナショック、トルコ軍のシリア空爆等のシリア情勢悪化により、トルコリラは下降を続けます。
2016年7月、トルコ国内でクーデター未遂事件が起こり、リラ安にさらに拍車をかけます。
追い打ちをかけたのが米国との関係悪化
クーデター関与の疑いで拘束されたアメリカ人牧師の釈放をトルコ側が拒否したため、2018年7月にトランプ大統領はトルコへの大規模制裁を警告します。
2018年8月10日にトランプ大統領はトルコから輸入する鉄鋼、アルミニウムに対する関税を2倍に引き上げる経済制裁を発表し、トルコリラが対円で20%下降するトルコショックが起こりました。
その後反発するものの、再び下降し、現在は新型コロナウィルスの影響でトルコショックの下値の水準で推移しています。
トルコリラ円は2020年4月、トルコショックの安値を割り込み、5月には最安値の14.63円!
まりえ
16.80円を突破したら次の目標値は22円となります。
現状、16.80円の水平線に上値を抑えつけられる動きが現れていますので、一度14円割れ付近まで下降し、サポートラインに跳ね返されて再び16.80円に挑戦する値動きが予想されます。
2021年後半トルコリラ円はどうなる!?
FXのスワップ派トレーダーに人気のトルコリラ/円。
今後どのように推移していくのでしょうか?
トルコリラは国際的な危機に左右されやすい通貨であるうえに、この春にトルコ中銀で総裁の交代があり、一時急落しています。
まりえ
3月に中銀総裁・副総裁が相次いで解任
3月20日、エルドアン大統領はトルコ中央銀行のアーバル総裁を解任し、カブジュオール新総裁を新たに起用すると発表しました。
さらに3月30日、チェティンカヤ副総裁を突如解任。
エルドアン大統領の中銀総裁解任は2年間で3回目、しかも今回はたった10日間で総裁と副総裁をお役御免!
アーバル前総裁は2020年11月に総裁になってから5か月間の間に政策金利を8.75%引き上げ、インフレ抑制に進んで乗り出していました。
カブジュオール新総裁が就任したことで利下げに転じるとの見方が市場に広がり、22日以降はトルコ安が目立ちました。
また、相次ぐエルドアン大統領の中銀総裁解任により、市場ではトルコ中銀の独立性について懸念が持たれています。
政策金利の据え置きを決定
トルコ中銀は4月15日、政策金利をこれまでの19%に据え置くことをアナウンス。
現状で新総裁はエルドアン大統領から利下げ圧力をかけられているんです。
前総裁の利上げ姿勢から一転してはいますが、トルコは中東に位置しながら原油を輸入に頼っており、通貨安がインフレに直結してしまいます。
実際に直近のインフレ率は上昇しており、利上げ推進論も出ていますので今後利下げを行うとなるとトルコリラの上値は重くなります。
【失業率・インフレのジレンマ】リラは当面上昇しづらい状況
トルコの失業率は2021年2月で13.4%と高いレベルです。
ここで金融引き締め(利上げ)を行えば景気停滞を招き、ますます深刻に事態なりかねません。
しかし一方、金融緩和(利下げ)を行えばインフレ加速が免れず、利上げと利下げのジレンマの渦中に。
トルコの外貨準備高はさらに減っていて、これらの要因はトルコリラの上昇を阻んでいます。
中東情勢が悪化している
2021年5月10日からガザ地区を中心にイスラエルとハマスで交戦が起こっています。
死者は双方で240人以上にも上り、中東に緊張が走りました。
今回の衝突の経緯を簡単に説明すると、エルサレムでは4月ごろから緊張状態がこれまで以上に悪化していました。
パレスチナ人のフラストレーションが頂点に達したのがラマダン(断食月)の時です。
イスラエル警察がラマダン中にパレスチナ人に対して強硬に取り締まりを行い、イスラム教徒の神聖な寺院であるアル・アクサ・モスクの中で催涙ガスや閃光弾を使いました。
イスラム組織ハマスは、イスラエル政府に寺院から治安当局を退却させるよう求め、さらにエルサレムに向かってロケット弾を発射しました。
これに応戦する形で空爆が行われたのです。
衝突は21日に停戦に入ったものの、緊張した状態が続いています。
トルコも中東に位置しているため、トルコリラへの影響が全くないとは言えないですね。
再び緊張状態が悪化するようであればトルコリラの下落リスクは考えておいた方が良いでしょう。
テクニカル面で値動きの予想
中長期の値動きから見ていきます。
トルコリラ円週足
トルコリラ/円は長期の下降トレンド継続中で、今後も下降トレンドは継続すると思われます。
というのも、トルコリラ/円は2007年からずっと下がっているんですね。
上昇トレンドへの転換は相当難しいでしょう。
目先は2020年11月の12.03円を下抜けるかどうかです。
12.03円を下抜けるともう一段安の懸念があります。
トルコリラ円日足
それでは短期の流れを見ていきます。
2月16日、3月19日を頂点としたダブルトップを形成しており、3月22日の大陰線の後は細かい下向きのレンジとなっています(緑色の線)。
レンジを上抜ければ14円、15円を目指す形となりますが、レンジ内に収まり続けてやがて大きく下抜ける可能性もあります。
下値の目途は12.00円です。
バイデン大統領との関係にも注目
トルコリラ円の2021年後半の見通しについて考えてみました。
現状ではトルコリラの上昇材料よりも下降材料の方が多い状態ですので、トルコリラ/円のさらなる下落には注意が必要です。
これからトルコ中銀が政策金利を引き下げていくのか、中東情勢の行く末に注目しておいた方がよさそう。
また、アメリカとの関係も注目されています。
トランプ大統領時代には激しい対立が目立ちましたが、バイデン大統領がエルドアン大統領をどのように評価し、どのような態度を示していくのでしょうか。
今後、まだ急落する可能性はあるのか?
トルコリラ/円は今後もまだ急落する可能性はあるのでしょうか?
再びあの地獄が起こってしまうのでしょうか。
トルコリラの海外の危機に弱いという特性
トルコリラは諸外国の影響を受けやすい「フラジャイル5」に入っています。
取引量が少なく流動性も低いので、ボラティリティが高いという特性が。
トルコには直接関係なくても、海外で市場にインパクトのある出来事が起こると大きく反応してしまいます。
特にリスクオフ局面では、当事者である主要国通貨よりもトルコリラが大きく急落してしまうことがあります。
外貨準備高が低く中央銀行による介入ができない
トルコは外貨準備高が低い状態が続いているため、大幅下落に中央銀行が対応しきれない体質になっています。
中央銀行が保有している外貨残高のことです。
例えば、日銀のドルやユーロなどの保有額を外貨準備高といいます。
トルコ中銀はこの残高が少ないため、リスクオフ相場でトルコリラが一気に売られたときにトルコ中銀が大量の外国通貨売りトルコリラ買いの介入を大規模には行えないのです。
普通、中央銀行は自国通貨が暴落した場合に介入によって自国通貨を大量に買って暴落に歯止めをかけるため、日ごろから外国通貨を買って外貨の準備をしておきます。
ですが、トルコは外貨準備高が低下している傾向にあり、そんな中にトルコショックが起こったため余計に外貨準備高が減ってしまっています。
まりえ
IMFの「常連さん」
トルコはIMFの「常連さん」です。
トルコは1961〜2008年の期間でおよそ20回にも及ぶIMFの支援を受けています。
2013年にはIMFへの債務を完済していますが、また「お世話になる」可能性があるのが現実のところです。
それは上の項で述べた「外貨準備高」がIMFが目安とする適正水準に満たないからです。
トルコ銀行調整監視機構が、海外金融機関にリラの取引を禁止させた
2020年5月7日、トルコ銀行調整監視機構(BDDK)が欧米の大手金融機関3行に対してリラの取引を禁止したということが報じられました。
今のところトルコではコロナ沈静化しておらず、国内は混乱が収まっていません。
リラの取引禁止により相場の乱高下が見越され、非常に警戒が必要です。
買いスワップがマイナスになる可能性
まりえ
実際にFX業者によっては買いスワップがマイナスに。
高金利通貨なので、買いでマイナススワップの状態が続くと大きな痛手ですよね。
下落リスクとマイナススワップのダブルパンチ。
ポジション保有には十分気をつけましょう。
トルコリラに投資するときは下落リスクを十分に把握する
トルコはアジアとヨーロッパの間という地理的に優位な場所なことや、若い世代が多いことから高成長を期待できる国ではあります。
しかし、財政が脆弱であることやトルコリラが世界経済の影響を受けやすいことなどから今後も急落リスクは十分にあり得るとでしょう。
たとえ金利が高く、スワップ投資が魅力的であっても値動きによって積み上げたスワップポイントはあっという間に飲み込まれてしまいます。
なので、レバレッジを低く抑えてトレードすること、トルコ関連の情報の収集に努めることが肝心でしょう。
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